臨床・研究・教育の紹介
琉球大学病院精神科神経科は、島嶼地域の沖縄県において唯一の大学病院です。このため、自立した医療圏の最後の砦としての機能を期待されています。具体的には、入院を要する児童思春期例や摂食障害の患者さんを一手に引き受けており、成人期発達症の併存例や治療抵抗性気分障害の入院治療の紹介例が多いのも特徴です。外来では、児童思春期専門外来や睡眠専門外来を有し、成人の神経発達症の確定診断や治療に工夫を要する気分障害圏の新患患者さんが数多く紹介されてきます。外来内に近赤外スペクトロスコピーを備えて気分障害の客観診断を行っているほか、各種認知症を中心とした器質性精神疾患の鑑別に向けたCT・MRI・DAT scan・SPECTなどの脳画像診断の依頼件数が多い点が特徴に挙げられます。Patient-centeredな合理的薬物療法の導入にも積極的に取り組んでおり、日本臨床精神神経薬理学会の研修施設にも認定されています。
医学教育においては、COVID-19以前は積極的な参加型実習によるクリニカル・クラークシップを推進してきましたが、現在は、医学生および患者さんの安全管理にも十分配慮し、シミュレーション演習も取り入れながらバランスの取れた臨床実習を提供しています。必修ローテーションおよび選択実習のいずれにおいても学生からの評価や満足度は高く、専攻医~5-6年生(4週間のクリニカル・クラークシップ)~4-5年生(2週間の必須ローテーション)間におけるしっかりとした屋根瓦方式が定着しています。
大学院医学研究科精神病態医学講座においては、各自が独自の関心領域に基づく研究テーマを持っており、「抑うつ性混合状態の症候学的・生物学的基盤」「気分障害と密接に関連する睡眠障害の特性」「思春期~青年期の睡眠・覚醒相後退障害の疫学調査」「アルコール症の飲酒行動と気質・心理との関連」「摂食障害における認知・心理・行動・対人関係の特徴」「認知症および軽度認知機能障害における安静時脳活動」「思春期神経発達症における社交不安症の実態」などの研究が進行中であり、そのほかに系統的な臨床精神薬理学的研究や社会精神医学的研究が行われています。COVID-19以降はオンラインによるリサーチ・ミーティングが主流となり、精力的なプレゼンテーションや双方向的なディスカッションが積極的に展開されており、大学院特別研究科目として他講座の大学院生も参加されています。
琉球大学大学院精神病態医学講座教授
近藤 毅
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